• (株)カルモア フレグランス事業部 

「香り」を企業ブランディングに活用する事例~シンガポール航空

更新日:7月28日



例えば私たちが何かを買おうと決めたとき、

その決断が実は、マーケターたちの功名な計算の上にあったとしたら、

どうでしょうか?


以前好きな異性が付けていた香水の香り、思いっきり天日干しした後の布団の香りなど

嗅ぐだけでその時の記憶が蘇るという効果は

『プルースト効果』『プルースト現象』と言われ、

香りマーケティングの分野では、企業や製品イメージを構築させる重要な訴求要素とされています。

嗅覚は記憶や感情に直結する感覚器官であり、

好きな香りは気分を高揚させてやる気を起こさせ、

その香りと共に味わった体験は素敵な記憶として人々の心にとどめられます。



そんな人間の本能的、感覚的な志向性の構築を、香りを使ってコントロールする。

その有名な成功事例の一つが、シンガポール航空です。

その巧みなマーケティング戦略をご紹介します。




目次

1. ステファン・フロリディアン・ウォーターズ

2. マーケティングとして優れている点

3. 香りでマーケティングするには


1. ステファン・フロリディアン・ウォーターズ


「ステファン・フロリディアン・ウォーターズ」という香りをご存知でしょうか?


シンガポール航空では、おしぼり・客室乗務員の香水・機内等の香り全てに、

ステファン・フロリディアン・ウォーターズという

シンガポール航空が独自に調合した香りを用いています。

シンガポール航空に一歩踏み入れた途端に人々は、

無意識に、そして強烈に、「シンガポール航空の世界に居ること」を体感します。


ネットで「ステファン・フロリディアン・ウォーターズ」と検索してみてください。

「リラックス効果抜群」「記憶から離れない」「非売品を手に入れたい」など、

好感度の高いコメントがたくさん出てきます。


まさに香りの演出が顧客体験をより印象的なものに昇華させ、

満足度を向上させている成功事例と言えます。



2. マーケティングとして優れている点


シンガポール航空の香りマーケティングの優れている点は、「テーマの一貫性」にあると思います。


「この香りを嗅ぐとシンガポール航空に乗っている感を得られる。」

シンガポール航空の香りの体験を調べるとこのような記事が見られます。


機内のデザインにマッチした民族衣装や視覚や味覚を刺激する魅力的な機内食。

航空機の機内では視覚的に一貫したテーマを感じる事ができます。


そこに「ステファン・フロリディアン・ウォーターズ」漂うおしぼりが

乗客に配られ、機内は独特の香りで満たされます。


これから海外へ向かう時のワクワク感、

あるいは母国へ帰る時の安心感、そんな旅の記憶の中に

「ステファン・フロリディアン・ウォーターズ」は存在し続けます


つまり「目に見えるもの」だけではなく、

香りという見えない要素で「尖り」を加え差別化を狙っている点が、

演出技法として優れていると言えます。


シンガポール航空の香りの評価が高い事実は、

単に香りのクオリティが高いというだけでなく、

視覚的な要素も含め五感のコンテクスト(文脈)が保たれ、統一性が強調されているからだと考えられます。


シンガポール航空は世界の航空会社満足度ランキングで、常に上位にランクインしています。




ブランディングや雰囲気作りの手法としては、

インテリアデザイン(色彩、照明、内装素材)や音楽などは既に一般的ですが、

今やより徹底的に世界観を演出するために、

マーケターやデザイナーたちは「香り」までをもコントロールします。


それは嗅覚が人間の五感の中で唯一、

感情・本能・記憶を司る「大脳辺緑系」に直接伝達される特性を持ち、

感情や記憶との紐づきが最も強いとされているからでしょう。


視覚=色彩・形状・質感・照明

触覚=素材・形状

嗅覚=BGM・遮音

嗅覚=フレグランス、消臭

(味覚はデザイン例なし)


味覚以外の四感全てを刺激し、こちらの意図通りに世界を体験させるのが

人間の本能をもコントロールする究極のマーケティングとなりそうです。


3. 香りでマーケティングをするには



上述のシンガポール航空の事例から香りのマーケティング活用ーポイントを整理すると、以下になると思います。


①自社イメージの統一

②ストーリーの創出



①自社イメージの統一について


自分の会社のイメージはどんなでしょうか。

特徴的な雰囲気や色調はありますか?


主に男性向け、女性向けどちらでしょうか?または両方?

製品イメージは?訴求する市場は?


など自社の強みと差別化できる点も併せてできる限り深堀出来るとよいと思います。


②ストーリーの創出


①で練ったイメージにストーリーを持たせます。

シンガポール航空の事例では、旅の始まりと終わりをおもてなしする為に

シンガポールという国の雰囲気を様々な手法で盛り込み、香りという尖った要素を用いて各々の『旅』を印象付けていると考えました。


では自社ではいかがでしょうか?


例として弊社(株式会社カルモア)の商談スペースで香り演出を行う事を想定して

下記検証してみたいと思います。


弊社はニオイ対策専門の会社で環境対策製品やサービスを取り扱っており、

大気環境や空気衛生市場に対してシェアを持っています。

『深呼吸空間の創造』を掲げていますのでそれをストーリーにして印象付けたいです。


弊社の商談スペースの場合、男女問わずビジネスの商談で来社される方が多いです。

イメージカラーは濃い青です。



テーマ

商談で訪れる来訪者を澄んだ空気でお出迎えし、気持ちよく商談に挑んで貰う。


PLAN A:

企業のイメージカラーに沿って水の様なシトラス調の澄んだキリっとした香りでエントランスを演出する。


PLAN B:

廊下や打合せスペースにはミントとウッディな香りで森林浴をイメージした香りを用いる。


PLAN C:

トイレを清潔感のある石鹸とサボンの香りでおもてなしをする。


と言った具合でしょうか。


もちろん上記を複合的に実施ても良いと思います。

内装デザインとの関連性や相性を見ながらあくまでもテーマと雰囲気を崩さないよう

香りの強さはしっかり調整するように心掛けて演出を行う事で香りの高感度が向上します。


会社に限らずホテルや店舗なども上記の設定が比較的容易なのではないでしょうか。


単に香れば良いというだけだとその場の雰囲気に合わず逆効果となり兼ねませんので

統一感はとても重要です。


特に香りは記憶と感情に直結する感覚器官である嗅覚を刺激する演出手法ですのでよりその場の雰囲気との整合性が重要となります。



まとめ


香りを活用したマーケティングの活用方法を、実際の活用例を踏まえて詳しくご紹介いたしました。


昨今インターネットサービスの高度化のお陰で大抵の事がオンラインで済ませられる時代になってきている中でリアルの場の必要性とは何でしょうか?


私はその場でしか得られない価値を享受できること、雰囲気や満足感にあると思います。

リアルの場で得たイメージや満足感は

その後の購買やサービスの選択に大きく寄与するものではないでしょうか。



私たちシュヴァリテエールは、商品を販売する会社ではありません。

お客様のメッセージ・想い・描きたい世界を、「香り」で実現するコンサルタントです。

皆さまの世界観にお力添えができましたら幸いです。