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【2021年最新】香り分野におけるDXトレンドとマーケティングへの活用について

最終更新: 3日前


古代の小さい生物にも備わった匂いを嗅ぐという行動様式。

人類の祖先にとって嗅覚は生き残る為の重要能力(危険察知、食物探知など)であったとされています。


現在人間の鼻は1兆種類の混合臭を嗅ぎ分けられると言われており、

視覚が700万種類の色を見分けられる点と比較し、遥かに鋭敏な感覚器官と言えます。


嗅覚は最も五感の中で理解されていない感覚と言われており、最近まで嗅覚に関する技術応用的な研究はなされて来ませんでした。


嗅覚が人間にとって重要な感覚である以上、それを模倣して開発される技術も人間にとって重要になると考えられています。


本稿では、その様な嗅覚を用いた技術応用に関するの現状について紹介致します。

(2021年1月現在)


参考:Webrain Think Tank LLC, Co-Founder and EVP マサ岩崎氏が登壇したJMA GARAGEオンラインイベント「【世界のDXトレンド】五感のデジタル化に挑戦する世界の企業~IoTセンサーが牽引する香り・匂い・嗅覚テクノロジーの最前線~


目次

1. AI香水マスター

2. デジタル嗅覚の市場

3. 香りのマーケティングへの応用


1. AI香水マスター


まずご紹介する記事として、IBM基礎研究所とドイツに本拠を置く香料メーカーとで共同開発したAI『Philyra』についてです。

AI『Philyra』は170万種類もの香水の処方を学習し、需要はあるが、これまで試されたことのない香料の組み合わせを提案するシステムとの事です。

例としてひと昔前に流行した香水の一部を変更して新しい物を提案するなど、人間では思いつかない発想を与えてくれるシステムとの事です。

今までは新しい香水1種類作成するのに数年を要す所、AIを用いる事で製作に要す時間が大幅に短縮される事は間違いなさそうです。

ただ現在の所、調香師の知識は必要でAIはあくまでもその助手的な役割を果たすに留まるようなので調香師の仕事がAIに奪われるという事では無さそうです。

香りの嗜好品である香水はとても人間らしい領域と思っていましたが、AIがその発展の一翼を担う時代が来た事にとても感銘を受けます。


参考ウェブサイト

Forbes Japan 「人工知能で香水」作るIBMの試み、ミレニアル世代がターゲット




2. デジタル嗅覚の市場

特定の匂いをデジタルで開発、生成、探知する分野はデジタル嗅覚技術(Digital Scent Technology)と呼ばれています。


この市場は世界で年間100兆円もの規模になるという予測もあるそうです。

このデジタル嗅覚技術の用途として、国防やセキュリティー、医療分野、食品や飲料分野での応用が期待されています。

例えば偽物ブランド香水を嗅ぎ分けたり、呼気の違いから病気を発見するという事も技術的に研究開発が行われています。


食品分野においても異常がある製品のふるい分けや生鮮食品の鮮度を嗅ぎ分けるなどアイディア次第で出来る事の幅が大きく広がる印象です。

この技術の要となりそうなのが、センサーと情報量です。

情報処理技術の分野についてはAI技術の発展により嗅覚以外の分野でも成長めざましい為、データ化さえ出来てしまえば嗅覚情報をデジタル処理する事は出来る可能性が高いように思います。


ただ、やはり嗅覚センサーについては他のセンサーに比べ開発が遅れており、人間の嗅覚の方がまだ遥かに優秀と言えますが、膜型表面応力センサー(MSS)のように高感度且つ小型化が可能で汎用性の高いセンサーも登場しており、大手企業や大学などによるアライアンスも組まれ注目を集めています。


嗅覚をデータ化する事で得られる応用の幅はどれ程でしょうか?目に見えないものをセンシングする技術。視覚や聴覚と比べてそこまで開発に重きを置かれなかった嗅覚ですが、私達の生活を一変させる程のインパクトがありそうな分野であるニオイがプンプン漂ってきます。


香りのマーケティングへの応用

香りを用いたマーケティングで良く用いられるものが『プルースト現象』です。


例えばデパート等で香水の香りを嗅いだ途端、過去の交際相手の記憶が蘇ってきたり、

日光で干した布団の香りを嗅ぐと子供の時のある一瞬の記憶が思い出されたりした経験ってありませんか?


このようにある匂いを嗅ぐと記憶がよみがえることって経験したことがあると思います。

この現象を精神医学的には「プルースト現象」あるいは「プルースト効果」と呼びます。

匂いと一緒に記憶された子供の頃の思い出は生涯忘れない傾向にあると述べる研究者もいます。


現在嗅覚によるマーケティングが世界で10億ドル規模の市場であり、様々な業界に広がっていると言われています。


このマーケティング手法はブランドや企業のイメージを向上させるだけでなく、顧客に満足感を与える事で売上に繋げる効果があるとの事です。


シンガポール航空ではオリジナルの香りを用いた飛行機内の香り演出を行っており、

忘れられない香りと好評で、同航空会社のエアライン満足度ランキングは常に上位です。


このように香りを用いた演出手法の成功例は他にも様々ありますが、

重要な事は香りとその場のコンテクスト(文脈)と言えます。

つまり、如何にストーリーを持たせ、マッチさせるか。


香りの感じ方は他の感覚器官と異なり、

事前説明を返るだけで好意的にも拒絶的にもなり得ます。場の雰囲気やコンセプトに合わない香りの選択は逆効果となり兼ねません。


また、香りは文化的な背景にも依存しており、

ラベンダーの香りは北米の人々には落ち着きを与え、ジャスミンの香りが日本の人々にはリラックス感を提供すると分析されています。


男性向け、女性向け、年齢層、顧客の趣向や文化など

マーケティングに関する情報を集積しデータ化する事で、

将来的にはこの分野においてもAIに提案して貰える日が来るかも知れません。


まとめ

人間の嗅覚にスポットライトを当てたデジタル技術の活用について、研究開発、技術応用、マーケティングへの活用法を、3項に分けてご紹介いたしました。

人間の知覚能力への寄与度が低い為、技術的な研究開発が遅れている分野ではありますが、今後デジタル・通信技術の発展と共に活用できる分野は確実に広がると思われます。


本記事を参考に今後の情報収集にご活用いただけたら幸いです。 今後の発展を見越して具体的に嗅覚技術についてこうゆう事をやってみたいという例があれば

実際にベンダー探しに動いてみるのも良いと思います。


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